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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で



あぁ、やっぱり夢だった。


でもあの人を私は知ってる。
知っているのに、何でだろう……言葉に出来ない。

何かが喉の奥で引っ掛かって出てこない。

でも……きっと知ってるのに。


夢の内容を思い出そうとすればする程にその映像は遠くなり、雲を掴むようにこの手をすり抜けてついには何の夢であったかすら忘れてしまった。

あぁ、本当にもやもやする。

なんだっけ、なんだったっけ、誰がいた?
何人いた?どこに?なんで?

分からない。
どうしても思い出せない。

胸を締め付けるじんわりとした痛みだけが、夢と同じだった。



起き上がって、頭を抱える。

その時さらりと流れる栗色の髪が目についた。

あれ、私の髪ってこんな色だったっけ。
もっともっと明るかった気がする。
いや、もっと暗かったかも。

それすらも分からないなんて。

あれ、私って何してたんだっけ?
というか、ここはどこ?



混乱する意識の中で様々な疑問が飛び交う中、かろうじで思い出せたのは昨夜の記憶。

気が付いたら暗い中、街にいて、すぐに男の人に話し掛けられたのだけど何を言っているのかわからなくて……

その後すぐに、新しい人に屋敷に連れられて、それで……

確か、急に言葉が分かるようになったんだっけ。
全く聞いたこともない様な言葉だったのに。

なんだろう、魔法みたい。

そのとき、少し胸に引っ掛かるものを感じた。

魔法?……あぁ、そうか、魔法だ。あれは魔法だった。
知っていることと知らないことの境界線が自分でも理解出来ないけれど、何となくこれは確実にそうだ、というのは分かった。

でも、どうしよう。
あの人……助けてくれたお兄さんの名前何だっけ、昨日はよく分かんなくて、自分が何か話したかすら分かんなくなっちゃった。

黒髪で、背が高く仕立てのいいスーツにバーバースタイルがよく似合った西洋顔の彼。

私、ちゃんとお礼言ったっけ?

あぁ、何でこんなに思い出せないんだろう、疲れてるのかな。

私は私が何者なのかも分からない。
でも、そんな筈ない。
だって、そんなことってある筈ないもの。

私はゆっくり息を吐いて部屋を見渡す。

すごく、豪華な部屋……落ち着いた色合いのクラシックな部屋はどこかの宮殿のようだった。
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