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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で



「!…キュイッ!!」

部屋に連れてこられ、私を見た途端飛び付いてきた。
私の肩に乗っては腕に巻き付いてみたりとはしゃぐ小さなこの子に癒される。

「こら、だめだよくすぐったいって…!」

笑いながらも軽く頭を撫でてやると柔らかく目を細めた。

「お嬢様がお元気そうで嬉しいのでしょう。」

メイドさんにも可愛がってもらったのか、懐いている様子。これならもし私が屋敷を離れなければならない時があっても大丈夫そうだと安心した。

肩に愛しい重さを感じながら、部屋を出ると何だか身体が軽く感じる。思ったより、部屋の外は静かだ。
そして廊下を歩いていると、大きな窓際に人影があった。
ハイデスさんではない、その人はすごく背が高くて、ハイデスさん以上に全身に黒を纏っていた。長いマントを肩にかけ、その体格は分からないがスラッとしている。

そして遠くからでもそのオーラが、きっと只者ではないと感じさせられる。さらりとその長身の腰近くまで伸びた髪がまた真っ黒で、とても綺麗だった。
でも少し近寄りがたくて、それは怖いとすら感じるような美しさだった。

「あぁ、これは失礼…お邪魔しております、アンリ嬢。」

進行方向なので引き返す訳にも行かず、ゆっくり近くまで行くとなんとにこやかな笑顔を向けられる。
ちょっと待って、この人、何というか、顔が良い……ハイデスさんよりも中性的で、凛とした雰囲気の人。
視線が合ってしまっただけで心臓が跳ねたかと思った。

「えっ、あ……いらっしゃいませ…?」

思わず上ずった声が出る。
いや、何言ってるんだ私、怪しいやつだと思われるのでは?
でも私の名前知ってるみたいだし、ハイデスさんの知り合いかな?全身黒いし、きっとそうだ。魔術師関係の人なんだろうな、でも朝から一人でこんなところにいるって何でだろう?お客様として迎えてるなら応接間とかだろうし、でもここからはちょっと遠いし…。

なんて頭の中でぐるぐると考えてるとすぐ側までその人が来ているなんて気が付かなかった。

「フフフ…混乱させてしまいましたかね。すみません、少し迷ってしまいまして。宜しければ応接間まで案内して頂いても構いませんか?」

「あ、それなら、ご案内します…、!」

なるほど、そういうことなら!と案内したが、これは彼からの助け船だったのではと思ったが、そんなの気にする余裕もなかった。
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