第3章 2 暖かな黒の中で
「、ああ、すまない……少し調子に乗りすぎてしまったね。」
崩れ落ちそうな私を抱き上げると、ソファに座らせた。
「ごめんね、アンリ…、こんな私でも、君の側にいても良いだろうか?」
眉を落として、その綺麗な顔に不安の色を浮かべるこの人は果たして、分かっていて言っているのだろうか。
「、ハイデスさんは、ずるいです……」
「じゃあ、お互い様かな。でも、君があまりにも魅力的過ぎるんだ…こんなに愛しいのに、耐えられる筈がない。」
唇への優しい口付けをして、はだけた胸元を直された。
「湯浴びをしないとね…メイドを呼ぼうか。そうでもしないと、また君に触れてしまいそうだ。」
すぐ側のテーブルにあるベルを鳴らしてメイドさんを呼んだ。本来なら起きてすぐに行う行為だが、今の状況で来られるのは大変まずいのでは?
と思ったが、にこやかに部屋を訪れたメイドさんに気にする素振りもなく去り際にまた唇へキスをしてハイデスさんは出ていった。
真っ赤になった私に、やっぱりニコニコしたメイドさんに可愛いと言われた。胸元のガウンのシミも気にせず備え付けのお風呂のシャワーで身体を洗われるが、気付かぬうちに脚の付け根を濡らしていたそれに気付かれた時も、お嬢様は本当に可愛らしいと言われて本当に恥ずかしかった。
朝からそういうことになってるのは、普通なの?
そうこうしてるうちにお風呂から上がり、さっぱりした私は比較的動きやすいドレスを選んでもらって袖を通す。
「お嬢様、隣の部屋でユフィーちゃんが待ってますよ。」
「あ!そうだ、街に出るとき留守番させて、一人ぼっちにしちゃってた…」
まだ小さいし、ちゃんと躾が終わっていないドラークを外へ連れ出すのは危ないので留守番してもらう事にしていたのだ。けれど、その間もずっとメイドさん達が面倒をみてくれていたようで、何やらもう既に屋敷のマスコット的存在になっているらしい。おお…何という圧倒的コミュニケーション能力の高さ。そこは飼い主に似なくて安心した、なんて笑いながら部屋に連れてきてもらう事にした。