第3章 2 暖かな黒の中で
「ごっごめんなさい…!!」
慌てて部屋に戻ろうとすると、慌てすぎたのかタイミング良く体勢を崩す。
「、ほら、危ないから……あんな目にあったんだ、無理してはいけないよ。」
後ろから抱えるように支えられ、何とか倒れずにすんだ私は情けなさに恥ずかしくなる。
「早く部屋に戻ろう。こんな場所では風邪を引いてしまうよ。」
そう言うとハイデスさんは軽々と私を所謂お姫様だっこで抱き上げてしまった。
「ひゃッ?、え…っあ、あの!自分で歩けます!」
「ダメだ。…アンリ、君裸足のままだろう?怪我をしたらどうするんだ。いいから、私に大人しく運ばせて?」
優しいテノールで、チュ、と額に口付けられては私はそれ以上何も言えなくなってしまう。
筋肉質でたくましい腕、私を抱えても全く問題なく安定感のある歩みに安心感を覚える。
ちら、とハイデスさんの顔を見たら少し顔が赤く見えた。
恥ずかしくてこの鼓動が伝わってしまうのではと思うと、余計私の心臓はドキドキと音を立てる。
やだもう、早く部屋について欲しいと思いながら、ハイデスさんの爽やかな香りに包まれてなんだか本当に恥ずかしくなってきた。ハイデスさんの香り、この距離で感じるの私初めてじゃない……それもなんだろう、何か忘れてるような。
そんなことを考えていれば気が付いたら私の部屋で、ハイデスさんは私をベッドに座らせるとすぐその隣へ座った。
凄いドキドキして目が合わせられない。私だけ何だか恥ずかしい格好で、目の前にハイデスさんがいて…
あれ、何となく…私、この感じ初めてじゃない…
「っ、あれ、ぇ……わ、わたし…昨日…、」
「…アンリ、?」
「わた、私、ハイデスさんに…なんてことを…、させて…!」
ガタッと立ち上がって、思わず後退りする。
だって、だって…!
一気に顔に熱がこもる。私、助けられてから今日目が覚めるまで何をしてた?!ハイデスさんに、何、させてたの…?
頭のなかをぐるぐると昨日の事が駆け巡る。
パニックになった私はハイデスさんの顔が見れないと、再び部屋の出口へと向かう。
あぁ、なんてこと、なんてことなの!
身体中が熱い、昨日の感覚を思い出してしまいそうでザワザワする。