第3章 2 暖かな黒の中で
目が覚めると、私の部屋だった。
不思議なくらい身体は軽くて、視界は眩しいくらいに鮮やかだ。
ふわふわのベッドの中、柔らかなシルクのガウンがさらりと滑った。
素足のまま窓を開け、バルコニーに出ると爽やかな風が部屋の中に吹き込んだ。
「…からだ、何ともない…。」
太陽の光に当たる手足を見ると、地面に飛ばされて傷付いた痕も、あの化け物に締め上げられた痕も無い。
でも、確かに私は初めて街に出掛けたその日、ハイデスさんと別れた後に街で化け物に襲われて、ジェイドさんが…
「、ッ、!ジェイドさん…!!」
血溜まりに倒れたジェイドさんが脳裏に浮かぶ。
彼は今、どうなっているの……彼は今、生きているの…??
素肌にガウンという姿にも関わらず、扉を開けて駆け出した。
部屋を出てすぐの曲がり角、この先の階段を降りれば医務室はさほど遠くなかった筈。そう思い角をまがろうとした途端、何か大きなものにぶつかって大きくよろめいた。
「ッ、おっと!大丈夫かい、??」
駆けると言っても元々脚の遅い私のスピードなど大したことも無いらしく、ぶつかったその相手に難なく受け止められた。
「キャッ、?!……ご、ごめんなさい…」
顔を上げるとハイデスさんだった。
「アンリ、?そんなに急いで何処へ……体調は?何ともない無いのかい?もしや、何かあったのか??、」
「あっ、いや…私は何も、…そんなことより、ジェイドさんは?!」
急に廊下を駆ける私に、何かあったかと焦るハイデスさんだったが、私の口から出た言葉が予想外だったのか、一瞬呆気に取られた様子で私を見たが、すぐにふわっと優しい表情を浮かべた。
「大丈夫、まだ目は覚ましていないが、命に別状は無いよ。」
「そっか……良かった…。」
ほっと胸を撫で下ろすと、急に身体が冷えた感覚がして思わずくしゃみが出た。
「アンリ、君はその格好でここまで来たのかい?その、私以外見ていないからいいが……それに、君はまだ安静にしてないと…。」
「、へ……?えっ、ぁっ…!」
自らの姿を見て、急に恥ずかしくなった私は、急いで胸元を隠す。別段肌が露出されている訳ではないが、素肌に薄いシルクガウン……つまり、肌のラインがハッキリ出てしまう。特に胸元が。