第3章 2 暖かな黒の中で
『ミツケタ……ヤット…コンナトコロ、イタ…』
頭に直接響くような声。
その持ち主を確認すること無く、私の体は捕らえられた。
「、いやあぁあ!!」
やっと出た声は、もう何の意味も持たない。
バチッと音を立てて落ちたのは、ハイデスさんのバラだった。
伸びた触手を弾いたそれで、一瞬だけ天使の動きが怯んだが、本当に一瞬だった。
助けなんてものは来ないと、そう言われた気がした。
『ミツケタ、ミツケタ……ツカマ、エタ…、』
身体に巻き付けられた、天使の脚のようなものが同時に衣服を引き裂いていく。
決して弱いわけではない布が無理矢理引き裂かれ、勿論私自身にも傷を作っていく。
殺すわけではないのか、何が目的なのか、そんなことを考える間もなく、その恐ろしい口から伸びた何かが私の口の中にねじ込まれた。
「ッンンン、?!、!!」
決して細くはない、ねっとりとした液体を纏わせたそれが私の口の中をまさぐる。
喉の奥まで入り込んだそれのせいで、酷い吐き気と共に胃の中のものがせり上がる。しかし、それが吐き出されることはなかった。が、喉に絡み付く胃液に焼けるような痛みを覚えた。
必死に悶える私などお構いなしに、ただの布切れとなった服の隙間から沢山の触手が私の肌をなぞる。
太ももを伝い、大切な割れ目を撫でられるが、こんな状況で反応出来る身体は生憎持ち合わせていなかった。
何度か乾いたそこを触手が往復したが、暴れるだけで何の反応もない私に、小さな突起をキュッと摘ままれた。
そんなことをされても、正直痛いだけだ。
それに今は絶えず込み上げる吐き気に意識が全て持っていかれてしまっている。
苦しくて苦しくて、涙が止まらない。
そんな私に、口の中をまさぐっていた触手から何か液体が流し込まれる。
勿論、吐き出すことなんて出来なくて、私は得体のしれないそれを大人しく飲み込むしかなかった。
飲み込んだのを確認したかのように、口の中の触手が引き抜かれる。
ゲホゲホと咳込みながら、先程飲まされたモノの匂いに眉をひそめた。
実際甘くはないのに、甘いと感じさせられるまったりとしたそれに、アルコールが混ざったような香りが口の中いっぱいに広がる。
不味いとは感じない。それが逆に気持ち悪かった。