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私を愛したモノなど

第3章 2 暖かな黒の中で



「そんなに珍しいか?」

「はい、だって……想像出来なかったから……。」

クスクスと笑うハイデスさんに、少し恥ずかしくなった。

「ならば、実際に見てみればいい。」

そう言うと、手を引いて連れてこられたのが小さな移動式の花屋だった。
色とりどりの花がワゴンいっぱいに積んであり、とっても華やかで可愛らしい。

「すまない、バラを彼女に一輪頼む。」

ハイデスさんがそう声を掛けると、人の良さそうな店主のおじ様がニコニコしながらクリーム色のバラを一輪差し出した。

「受け取ってみるといい。」

「これを、ですか?」

一見普通のバラ……勿論、香りも良く花びら一つ一つに痛みも無く状態は良いものだ。ただ、肝心の色味が少し地味で濁っているように感じる。

私は、言われるがままにそのバラを受け取った。

「、えっ……?!」

すると、どうだろうか。
店主から手渡されたバラは受け取った途端、一瞬にして色を変えてしまった。

くすんだ花びらは透き通るようなオパール色に、やや濁った枝は鮮やかさを増し、花その物が宝石で作られたように輝いて太陽の光に反射して淡いプリズムを映す。

だが、これに驚いたのは私だけではなかったようだ。

「これは凄い……お嬢さん!!今までこんなに美しいバラを見せてもらったのは初めてだよ!!」

まず花屋の店主が声を上げた。

「おお、これはこれは美しい……まるで王国の魔宝石のようですね。」

続いたのが、私達の後ろに控えていたジェイドさんだった。

「あっ、えっと……あの、これは、??……ハイデスさん?」

真剣な面持ちで黙り混んでしまったハイデスさんに、何か変なことが起きてしまったのかと不安になった。

「……いや、本当に綺麗だ。アンリ、君の色が知りたくていつかこの花に触れて欲しいと思っていたが……本当に、まるで魔宝石だな。」

「魔宝石、?」

「あぁ、純度の高い魔力のみを溜め込んだ魔石だ。」

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