第3章 2 暖かな黒の中で
心臓の高鳴りと共に、明らかに体の体温が上がっていく。
ざわざわとした胸騒ぎがする。
凄い良くない症状だということが私の感が伝えている。
体が熱い、それに喉も渇いた。
壁に手を付ながら部屋を移動し、寝室の水差しに手を伸ばすが、ぞくりと身体を襲う感覚に思わず手を滑らせた。
ガシャン、!と派手な音を立ててガラスの水差しが床に砕けていった。
割れた水差しのガラスの破片が飛び散って、足元を冷たく冷えた水の存在を感じる。
なのに、私はそんなことを気にしていられる状態ではなかった。
身体の芯が熱を持ち始め、自分でも信じられないところがじくじくと疼く。
ドクンドクンと響く心臓の音と、わずかに衣服が擦れる感覚を肌が敏感に感じ取る。
何で、何が起きたの?
そう思いながら、私はこの感覚を知っていた。
私の身体を蝕むような、この疼きを私は以前にも感じたことがある。
たまらずに濡れた床にへたりこむ。ドレスの裾が水気を吸い、ひんやりと脚に伝わるのが気持ちいい。
けれど収まるどころか酷くなる身体。
水差しを落とした音で気が付いてくれたのか、メイドさんが部屋に駆け込んで来た時には、もう意識は朦朧としていた。
助けて、たすけて、早く、……
気が付けば誰かの腕に抱かれていて、呂律の回らない舌で必死に助けを求めていた気がする。
熱い、苦しい……くるしいの、
朦朧とする中、閉じた瞼の裏で見たものは、何故か輝く金の髪だった。