第3章 2 暖かな黒の中で
「えっと、とりあえず……洗ってあげた方がいいよね。」
割れた殻と少し残った粘膜が体に着いてしまっているのをお風呂で軽く流してあげる。
水は大丈夫なのかな?と思ったけど何ともない。生まれたばかりだというのに結構タフだ。
桶に水をためて掌で掬ってかけてやれば水遊びみたいにはしゃぐ。
産まれたてでこんなにはしゃがせては体に悪いと落ち着かせても、またすぐに無邪気に遊びたがる。
何この子、めちゃめちゃ可愛い……。
最終的に私の手から水を飲む姿に感動して暫く動けなかった。
ざっと綺麗になったので真新しいタオルにくるむとそこはかとなく楽しそうにしている姿がまた微笑ましくて、眺めていたらメイドさんの訪れを知らせるノック音が響く。
「あ、はい!大丈夫です!!」
思わず返事をしてしまったが、これは大丈夫なのか?
と思った矢先、案の定入ってきたメイドさんが驚いた声を上げた。
……ですよね。朝起こしに来たら突然ドラゴン抱いてるんだから、ビックリするよね。
すると叫び声を聞き付けたのかあろうことかハイデスさんが飛んできた。
「アンリっ、今の叫び声は……、?!」
着替えの途中だったのか、髪はいかにもセット前の無造作な姿で、ネクタイを結ばず首に引っ掻けた状態のハイデスさんとその後ろへコーム片手に現れたジェイドさん。
ビシッと決めてるハイデスさんは勿論カッコいいけど髪を下ろした姿は初めて見るからちょっとドキッとしてしまったのはまた別の話。
焦る様子のハイデスさんと、少し不満そうな表情を一瞬ハイデスさんへ向けつつ私の方を見ると驚いた顔をするジェイドさん。
何だか、朝からお騒がせしてしまってすみませんと言わざるを得ない。
「あ、えっと……産まれました、?」
ちょっととぼけた声になってしまった私に続いて、キュー!と元気よく鳴いた腕の中のこの子の声とが変に私の部屋に響いた。