第34章 10年越しの告白
「この用紙にクラスと名前書いてくれる?」
櫻井さんがボールペンを俺に差し出した。
「えっ、あっ、はい…」
クラスと名前を書き終わると櫻井さんが用紙を手に取り俺の書いた文字を見た。
「1年B組 松本潤くん…」
「はい…」
用紙から視線を俺に戻すとまたまたニコッと笑い掛けてくる。
「キミ、今日から生徒会書記ね」
「はっ⁉」
「これ、役員の希望届け…今、名前書いたよね?」
「いやっ!だって、櫻井さんが書いてって…」
「書いてとは言ったけど、嫌なら断ればいいだけだろ?」
「それはそうですけど…」
何で書くのかなんてわからなかったし…
今まで黙って様子を窺ってた友人らしき人が溜め息を吐いた。
「ここの生徒会って選挙で決めないで希望制なんだよ。
でも1年生って警戒して中々入ってこないだろ?
だからね、翔さんに声を掛けてくる新入生を翔さんが生徒会に引きずりこんでんの」
その人は気の毒そうに俺を見て苦笑した。
「え、ってことは俺以外にもいるって事ですか?」
「まぁねぇ…でも入学式当日って最短記録だよ…凄いね松本くん」
これって誉められてんのかな…
えっ、でもちょっと待った。今までも櫻井さんに声を掛けてる人たちがいるんだよね?それって既に恋人アリってこと?
「あのっ、櫻井さん…俺の告白の返事は…」
「あぁ~」
櫻井さんは俺の正面に立つと美しい微笑みを湛えた。
次の瞬間俺のネクタイを掴みグイッと引き寄せられた。
「えっ⁉」
唇が触れてしまうんじゃないかと思うほどの距離でピタッと止まった。
「松本…俺に告白するなんざ10年早いんだよ」
超低音の声が鼓膜に響いた。
ええーっ!どういうこと?
さっきまでの櫻井さんの優しい微笑みは消え今は冷えきった目と恐ろしいほどの無表情。