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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)



『さてと、』

考え込んでいた俺の背中をトン、と叩いて
綾ちゃんが立ち上がる。

『病室、戻ろうか。静がそろそろ起きるかも。』

『…うん。』

廊下を、並んで歩きながら、
綾ちゃんは、笑いながら言った。

『あの日ね、静、すごく、怒ってたの。』

あの日、ってのは、間違いなく、
綾ちゃんが母さんに謝りに行った日。

『やっぱ、怒ってたんだ…』

『うん。私の顔を見るなり、静、
"受験生をコタツで寝させるなんて、
風邪ひいたらどうすんのよっ!"って。』

あれ?

『…怒ってたの、そこ?』

『うん。』

"あなた達のは恋愛じゃない。"
"大人と恋愛する覚悟はあるのか?"
"私は親友と息子に裏切られたの?"

そこまで俺に言ったのに?!

『私も、拍子抜けしちゃったわよ。
"肩にはちゃんと毛布もかけてた"とか
"そんなに長い時間は眠ってない"とか
変な言い訳、いっぱいしながらも、
なんか、調子が狂ってきて、でね』

『で?』

『つい、私から聞いちゃったの。
"怒ってるのは、そのこと?"って。そしたら、』

『…そしたら?』

『プリプリ怒りながら、
"だって、恋愛に関して
私があれこれ言えるわけないでしょ、
自分だって未婚の母なんだからっ!
わかってるけど腹はたってるから、
とにかく何か文句言わせてよ!…だって。』

『なんだ、それ(笑)八つ当たり?』

『うん、まさに、八つ当たり(笑)』

『よくわかんねぇけど、ごめん。』

『いっちゃんが謝ることじゃないって。
あぁやってハッキリぶつけてくれて、
むしろ、私もありがたかったくらいよ。
中途半端に黙ってられる方が、よっぽど
息苦しくて、会いづらくなるもんね。』

そう言いながら病室のドアを開ける。
背中を起こして外を見ていた母さんが
こっちを見た。

『一静!お帰り!試験、どうだった?』

『ただいま。うん、まぁまぁ。』

『まぁまぁ?"楽勝"って言ってよー。』

『倒れた母親置いて出て行ったんだぞ?
気になって、楽勝なわけ、ねーだろ。』

『やだぁ。落ちてたら私のせいみたいじゃない!』

それも、あるけど(笑)

『…合格してたら、俺、家、出てくんだよ?
そしたら誰が母さんの世話すんのさ?』

『なにそれ、
今まで世話してたみたいな言い方!』

それもそうだな(笑)

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