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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『だけどさ…
綾ちゃんに聞くことじゃ
ないのかもしんないけど、』

『なぁに?』

『母さんがこんな状態で、俺、
進学して大丈夫なのかな?だってほら、
あの、亡くなった人ってさ…』

俺の父親なんだろ?

あの人、いなくなったのに、
母さん一人で、俺、養えんの?

そもそも店は、
あの人がいなくなっても
経営、続けられるのか?

…言葉に、詰まる。

母さん本人にならともかく、
綾ちゃんに
そんなストレートな質問、
していいのかどうかわからなくて。

俺のそんな戸惑いを察してくれたのか、
綾ちゃんは、頷いた。

『きっと静は、いっちゃんに質問されても
"大丈夫、心配ない"しか言わないわよね。
でもいっちゃんは知ってていいことだって
私は思うから…
私が知ってる限りのこと、話す。
…いっちゃんは、そこへんの高校生より
ずっと大人だって、私、知ってるから。』

『綾ちゃんと俺の仲、だもんな。』

ふざけて言ったら、
綾ちゃんが慌てた顔をするから
つい、笑ってしまった。

母さんの静かな寝息を確認した綾ちゃんは

『ちょっと、廊下、出ようか。』

俺を促すと、
エレベーター前のソファに並んで腰掛け
そして、小さな声で話し始めた。

『あの人と静は、
私達が大学時代にアルバイトしてた時に
出会ったの。
歳は離れてたけど、魅力的な人でね。
すぐに二人は惹かれあったんだけど、
彼はビジネスで成功し始めた頃だったし
何より家族があったから…
なかなか表立っては会えなくて。

それでも…っていうか、
その分、なのかな。
時々、会える時間が濃密、というか。』

『ふーん。』

うっすら想像していたことだったから、
それほどの驚きやショックはなかった。

『…親のこういう話、聞いても平気?イヤなら…』

『夜の世界ではよくあることだろ?
それより、息子と親友が寝たかも、って
母さんに疑わせた俺の方がよっぽど悪者。』

『もうっ、その話、NGだって!』

『わかってる(笑)』

もう終わったからこそ笑って話せるんだな、って

自分でネタにするたび、思う。


今、隣にいるのは、

少し前まで俺が恋してた人で、
ずっと前から母さんの親友で、
今、俺と母さんを支えてくれる人。


ただ、それだけ。


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