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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




受験を終えて仙台へ戻った俺は、
その足で、
母さんのいる病院へ向かった。

…何から話したらいいのかな?
どこまで聞いてもいいのかな?…

そんな複雑な気持ちを抱いてると、
日頃、滅多に来ることのない
"病院"の雰囲気にのまれそうだ。

白い壁。白い床。白い扉。白衣。
真っ直ぐに続く廊下。
どこを見ても同じような景色。

どこかから聞こえる、ナースコールの音。
廊下に置いてある、見慣れない医療器具。


母さんもこの空間の一部になってる、
そう思うと、俺はどこも悪くないのに
緊張で気分が悪くなりそうだ。


意を決して
母さんの病室のドアをノックすると、

『はぁい、どうぞ。』

聞こえたのは、綾ちゃんの声。
…一気に、緊張が緩む。

『ただいま。』

『あ、いっちゃん!おかえりなさい!』

『母さんは?』

『今、眠ってる。
…いっちゃん、駅からそのまま来たの?
疲れたでしょ、座る?お腹すいてない?』

『ここでも飯の心配してくれるんだ(笑)』

『あら、ほんとね(笑)
なんか、若い子の顔見るとつい、
ご飯食べさせなきゃ、って思っちゃう。』

…よかった。
いつもと変わらない綾ちゃんに、
俺の気持ちも、少しほぐれる。

ふうっ。
眠っている母さんの顔を覗いてから
折り畳みの椅子に腰かけた。
素顔。眠り顔。腕からつながる点滴。
…俺の知ってる母さんじゃないみたいだ。

『具合、どうなの?』

『うん、特にどこか
悪いところがあるわけじゃないみたい。
だけどやっぱり気持ちがね…食欲もないし。
ほら、静、ずっと仕事ばっかりしてたから
この際、少し休ませようと思って。
静も、今はお店に出る気力はないみたい。』

『…だよな。店は閉めてんの?大丈夫?』

『大丈夫。いっちゃんは知ってるのかな?
静の片腕みたいな男性。』

『あぁ、会ったことはないけど。』

1度、母さんの店に電話してしまった時に
出た人だろう。
…お客の秘密を守る、秘書みたいな人。

『あの人と静と相談して、
お店はあけてもらってるの。
…お客様には、静はいっちゃんの受験と
引っ越しの準備でしばらく仙台にいない
ってことでね。』

『え?
俺、受験に母親と行ったことになってんの?
なんか、甘ちゃんみたいで情けなくね?』

『そのくらい、協力してよ(笑)』



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