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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『ううん、私、もう、逃げないから。
いっちゃんが、教えてくれたんだもんね。
逃げてもどうにもならない、って。』

…逃げない、って?

『私、いっちゃんが学校にいったら
静に会ってくる。』

…え?

『会って、どーするつもり?』

『もちろん、ちゃんと話してくる。
いっちゃんとは夜の町で偶然、会って、
時々、うちにご飯食べに来てた。
昨日は、
ご飯食べたまま眠ったいっちゃんを
起こすのが忍びなくて、ついそのまま
私も眠りこんじゃった、って。
なにもやましいことはない、って。』

『…母さん、疑ってるよ?』

『そんなの、わかってるわよ。
だけど、本当のことを言うのが
いつも正しいとは限らないから。』

『…ウソつく方が正しい、ってこと?』

『薄々、感じてたとしても、
認めて欲しくないことも、ある。
…信じたい、って気持ちが最後の砦、
っていうか。』

『そう、かな?』

『言ってしまったら
こっちは楽になるかもしれないけど、
今度は、聞いてしまった方が苦しむから。
…言えないこと、したんだもの。
一生、嘘を突き通す苦しさを
背負うくらいのことは、しないと。』

『俺も?』

『そう。いっちゃんも。
ほかにいない家族だからこそ、
守らなきゃいけない暗黙のルールがある。
…静が私に昨日のこと言ってこなかったのは
きっと、その余白をくれてるのよ。』

『余白?』

『もし問い詰められたら、
本当のことを言ってしまうかもしれない。
そしたらそれぞれが、大切なものを
失っちゃう…って、わかってるのよ。』

大切なもの。

『俺、綾ちゃんのこと、大切…』

『ありがとう。
でも、静にとってのいっちゃんは、
それとは比べ物にならないくらい、
大切だから。』

『綾ちゃんにとって、』

母さんと俺、どっちが大切?って
聞こうと思ったけど、やめた。
…言葉にする綾ちゃんも、
言葉にされた俺も、きっと苦しむ。

だから、違う言葉を繋げた。

『綾ちゃんにとって、
母さん、大事な友達だろ?
もしかしたら、母さん、怒ってて
友達関係、失うかもしれないよ?
…俺なら、"反抗期"の一言で
済ませてもらえるかもしれないからさ、
俺が、母さんにうまく話そうか?』

『これは私のケジメだからね。
さ、ご飯食べて、そろそろ準備しないと!』


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