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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『インスタントだけど、
とにかく、あったまって。』

渡されたマグカップには、
熱々のコーンスープ。
冷えた手にその温かさが気持ちよくて
しばらく黙ってコーンスープを飲んだ。

その間、綾ちゃんも
同じようにスープを飲みながら、
ずっと黙って待っててくれて。

…たった一杯のスープを飲む時間じゃ
どうやって話せばいいかなんて
全然、思い浮かばなくて。

カタン、とカップを置いた時、
綾ちゃんが口を開いた。

『何か、あったのね。』

『…うん。』

優しいな、と思った。

もし、
"何があったの?"って言われてたら
きっと、
言葉に詰まって一言も返せなかった。

何かあったから、ここに来た。
それをわかってくれてる、ということは、

きっと、
俺から話さなくても、わかってくれる。
…詳しいことはともかく、
俺が家出をしてきたことくらいは。

『昨日、静より先に帰れなかったのね?
…そのことで、静とケンカして、家出?』

おぉ、まさにその通り。
俺、何も言う必要、ないじゃん。

『綾ちゃん、スゲェな。』

『それしか思い浮かばないもの(苦笑)』

『話、早くて助かった。
そういうわけで、俺、ここにおいて。』

簡単にOKしてくれるとは思ってないけど
俺はそれしか言うことないから。

『…明日、学校でしょ?』

『うん。
明日の分はちゃんと準備してきた。
明後日からも、大丈夫。
学校帰りに毎日、家によって
少しづつ、ここに持ってくる。
だいたい、もう、受験前だから
そんなに授業もないし。』

『静は、いっちゃんがここに来たこと、
知らないのよね?』

『もちろん。黙って出てきたもん。
仕事から帰って慌てるんじゃねーの?』

『…』

黙ってしまった綾ちゃん。

『俺、帰らないよ。母さんだって、
俺に意見できる立場じゃねーじゃん。』

『…そんなこと、』

『だって、ホントのことだろ?』

ふぅっ。
大きく息をはいて
目をつぶった綾ちゃん。

困らせてる、ってわかってる。
勢いで家出してきたけど、
冷静に考えれば、
充分、迷惑だってわかってる。

…だけど、帰りたく、ない。
きっと"帰れ"って言われるけど。

目を開いた綾ちゃん。

『わかった。』

え?
え?

『帰れ、じゃなくて?』


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