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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『…俺、風呂に、』

母さんと目を合わせるのが怖くて、
すげぇゆっくり靴を脱ぎながら
そう言ってみたけど、

『一静、座って。』

俺の言葉の上からかぶせるように、
落ち着いた、
でもドスの効いた声で言う母さんに
とても逆らえる雰囲気ではなく。

母さんの向かいに座る。
でも、顔を見る勇気はない。

『一応、聞くわ。
こんな時間まで、どこで何してたの?』

当然の、質問。
ホントのことを言えるはず、ない。

だけどここで詰まったら、
きっとこの先、全部が劣勢になる。
だから、とにかく、何か、答えないと。

『…友達んとこで勉強してたら
二人とも眠ってしまって遅くなった。』

『…ふぅん。』

冷たい一言。
そして、ド真ん中の問いを投げてくる。

『その友達っていうは、綾なの?』

はいそうです、なんて言うわけねぇだろ。

『母さんの知らない友達。』

『あの辺に、友達、いた?』

『いるよ。
バレー部じゃねぇから
母さん知らないだろうけど。』

『…そこに、財布だけ持って、
手ぶらで勉強しに行ってたわけね。

ぐっすり眠って遅くなったから、
急いで帰れって叩き起こされて、
タクシー呼んで領収取らせるような
大人じみたことをする友達の所に。』

反論できる要素がなさすぎる。

『…ぐっすり、じゃねぇよ。
うっかり、ちょろっと、だって。』

『…その寝癖、どう見ても
机でうっかりレベルじゃないわよ?』

ね、寝癖?!
思わず頭に手をやる。

『そこじゃない。後ろ。真後ろ。』

『…』

『…いつから会ってたの?』

…もう、相手が綾ちゃんなのは
隠しても無駄だと覚悟を決める。

『10月の終わり頃。』

『心機一転、頑張りたいから
店のこともアパートのことも
一静には言わないで、って言ったのは
綾の方だったのよ?
…私、ずっと、
息子にも親友にも騙されてたってこと?』

声に、怒りが混ざってる。
こんな怒り方をする母さん、初めてだ。

でも、俺にとっては
綾ちゃんが悪く言われることの方が
ずっと腹が立つ。

『綾ちゃんは、
母さん騙してなんかいねぇよ!
もともと、会ったのは偶然だったし、
来るな、って何度も言われたのに
ムリヤリ押し掛けたのは俺の方だし。』

そうだ。
改めて思う。
悪いのは、全部、俺。

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