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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)



いつもは馴染みの夜の街も、
今日はなんだか居心地が悪い。

全部、キラキラしすぎだ。
みんな、イチャイチャしすぎだ。

なんだか自分が迷子になった気がする。

俺、何、食いたいんだっけ?
俺、どこ行きたいんだっけ?
俺、誰に会いたいんだっけ?

何を考えても
心に浮かぶ名前はひとつだけで、

でもそれを考え出したら
無茶…店とか家とか押し掛けたり…
したくなるのは間違いないから、

とりあえず、出来るだけ
クリスマスに関係なさそうな店に飛び込んだ。

『…いらっしゃ…お、一静か!久しぶりだなぁ。
なんだよお前、イブに予定ナシかぁ、ワハハ!』

『ワハハ、じゃねーよ。
晩飯、食いに来ただけじゃん。』

『おめー、イブの蕎麦屋なんて、
高校生が飯食いに来る所じゃねーぞ?』

『いやいや、俺はむしろ
今日は、客、いねーだろうと思って
心配して来てやったんだけど?』

『おっと、失礼なヤツだなぁ(笑)
ま、確かに今日は閑古鳥だ。
貴重な客ってことでもてなしてやっか。
おーい、一静が来たぞー。』

おっちゃんの呼び掛けに
奥からおばちゃんが出て来る。

『あら、一静、嬉しいわぁ!
何にする?
クリスマスつったらチキンだけど、
うちにチキンはないからねぇ…
あ、鳥つながりで、鴨でも食べる?
あんた、鴨せいろ、作って。大盛。
…そーだ、頂きもんの鯖寿司、開けよ。
付き合いで買ったケーキもあるし。
ね、一静、食べるよね?』

『鴨と鯖とケーキって、お前…』

『いいよ、食う、食う。全部、食う。
高校生の胃袋、底なしだから(笑)』

馴染みのおっちゃんおばちゃんと
他愛ない話をしながら
カウンターで飯を食う。

『一静、もうすぐ受験だろ?県内?』

『県内も県外も受けるよ、一応。』

『わざわざ県外行かなくても、
宮城でいいだろ。な、県内にしときな。』

『あんた、何、言ってんのさ。
子どもは一旦、親元離れてみなくちゃ。』

『でも、静さんが寂しがるだろーよ?』

『寂しいのは、あんたの方だろ。
あのね、この人、一静が来ると、
嬉しくてたまんないんだよ。
話し相手してくれんの、一静だけだからねぇ(笑)』

夫婦の会話を笑って聞きながら、
俺はやっぱり、綾ちゃんのことを
思い出していた。

…俺がそばにいたら、嬉しいだろうか?
俺が県外に行ったら、寂しいだろうか?


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