第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
毎週一回、水曜だけ。
毎回、夕方から数時間だけ、
なんだけど、
学校より家より、居心地のいい場所。
部活とは違った、俺の役目のある所。
…いつの間にか俺にとって
綾ちゃんの家は、
そういう場所になっていた。
会えない時間の方が長すぎて、
その間、ずっと
綾ちゃんのことを考えてしまう。
"私達は、つきあってるわけじゃない。"
綾ちゃんは、念を押すように
時々、俺にそうやって言うけど、
それでも、全然、かまわない。
綾ちゃんが寂しくないように。
綾ちゃんが笑ってくれるように。
綾ちゃんも、俺に会うのを
楽しみだと思ってもらえるように。
そんなことばっかり、考える。
…今年のハロウィンは、水曜じゃなかった。
(てか、俺、今まで1度も
ハロウィン的なこと、したことねぇけど。)
ハロウィンの前の水曜日に
綾ちゃんちに行くとき、
ケーキ屋に寄った。
なんか、
カボチャの形をした器に入ったプリンと、
👻とか🎃の形をしたクッキーを買う。
持っていって渡したら、
『すっごーくかわいい!』
『ハロウィン祝うの、人生で初めてかも!』
『なんか、若者っぽーい!』
…とかって、
綾ちゃん、すげー、喜んでくれた。
『仮装セックス、してくれる?』
…という俺の調子にのった申し出は
軽くスルーされたけど(笑)
その翌週の水曜日には、
『この間のお礼。
ハロウィンは終わっちゃったけどね。』
…と、
たっぷりのチーズが入ったハンバーグと
パンプキンスープ、カボチャのコロッケ、
カボチャのグラタンがズラリと並んだ、
お子さまランチみたいな
(それにしちゃ大盛だけど)
豪華な晩飯だった。
パクパク食い付く俺を
いつものようにニコニコ見ながら、
『行事にちなんだメニューなんて、
自分のためには、なかなかしないから
こんなの作ったの、久しぶり!
準備してて楽しかった~。』
と言ってくれたのが、嬉しくて。
…そうだ、
あのプリンが入ってた器に
ちっちぇー花が飾ってあったのも
なんか嬉しかった。
会えない間、俺がいつも
綾ちゃんのこと考えてるみたいに、
綾ちゃんも、俺のこと、
思い出してくれてる瞬間があるんだ、
…って思って。