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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『じゃあ、綾ちゃん、
今、どんな気持ち?それだけ教えて。』

『今の、私の気持ち?』

迷惑、とか
困る、とか言われたら、どうしよう。

離すべきなのか、
それとも、
もうこれっきり会わないつもりで、
無理矢理にでも、押し倒すべきか?

綾ちゃんは、考えてる。

どんな答えでもいい。
ゆっくり、考えてよ。
一秒でも長く、
こうやって抱き締めていたいから。

そして、

『今、私、』

綾ちゃんが、俺を見上げる。

『…なんか、嬉しい。』

『ほんとに?迷惑、とかじゃなくて?』

『うん。
心配してくれて、
言葉、探すの、待っててくれて、
ご飯、おいしいって食べてくれて、
…こうやって、掴まえててくれるのも、
なんか、嬉しい。』

俺は高校生のガキだから、
大人の綾ちゃんに
してあげられることなんて
大したことはないけど、

そんな当たり前のことでいいなら、
いつでも、いくらでも、してあげたい。

『綾ちゃんが嬉しくなること、
俺、何でもする。何でも言って。』

綾ちゃんが、顔をあげた。

笑ってる。眩しそうに。

『そういう気持ち…
うん、私も、ずーっと前、経験ある。
懐かしいなぁ。』

『ヒトゴトみたいに言うなよ。
綾ちゃんのこと、好きだからだろ。』

『…いっちゃん、彼女と別れたばっかりで、
今、気持ち、荒れてるもんね。』

それは、違う。

『前、綾ちゃん、俺に言ったじゃん、
"その時に1番"大事な人を
大事にすればいい、って。』

『そんな偉そうなこと、私、言った?』

『言った。
一生、同じ人がずっと1番ってことは
なかなかないから、
その時に大事な人を大事にしろ、って。
俺、今、綾ちゃんが、1番大事。』

『…失恋の憂さ晴らしだとしても、
こんな若い男の子に
そんなこと言ってもらえるなんて、
贅沢すぎて、バチが当たりそう…』

『違う、憂さ晴らしなんかじゃ、』

言いかけた俺の唇を、
綾ちゃんが、指でキュッ、とつまむ。

『…わかってる。いっちゃんは、
憂さ晴らしなんかで求める子じゃない。
でも、そういうことにしておかないと、』

微笑みが、消える。
すごく真剣な、訴えるような、目。

『…私が、ここから先に、進めないから。』

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