第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
少しづつ、ゆっくり、
入り口とナカを柔らかくするように
中指を動かしながら進む。
狭くて、
キツくて、
抵抗するように、
拒むように締め付けられて、
"あぁ、俺は、
この中では異物なんだなぁ"
…と思った時、
『…ゃぁ、いたい、センパイ、ぃたぁぃ…』
細く訴えてくる声。
指一本でこの苦戦。
この後、この何倍もの太さが
出入りするというのに。
たまらず、思いきって、話しかけた。
『…なぁ、今日は、止めとくか?』
『そんな…』
『せっかくのハジメテ、
もっとちゃんと時間かけた方が…』
『でも、ここまでシてもらったのに…』
『また今度、』
『待って、私、』
俺の背中にしがみつく、両手。
『早く、大人になりたい。』
『大人、って…セックスすれば
大人ってわけじゃねぇだろ?』
『でも、いずれ経験するなら、
私、センパイに、もらってほしい。』
『…』
『…こういうの、重い?』
『ぃゃ、重くはないけど…』
重くはない。
けど。
申し訳ない。
"俺が絶対、幸せにする!"とか
"こいつしかいない!"みたいな
(例え若気のいたりだったとしても)
猛烈な気持ちというわけではなく、
今、俺を好きって言ってくれて、
嫌いじゃないからつきあってみるか、
…みたいな俺が、
時間気にしながら急いでやっちまう
っていうんじゃ、
とにかく、俺の気持ちが許さない。
『じゃあ、センパイ、お願い。
もう痛いって言わないし
絶対、泣かないって約束する。
私のこと気にしないで
イッキにシちゃってかまわないから、
このまま、とりあえず、』
…焦ってる。流されてる。
その声を聞いて、逆に、
俺の気持ちが冷静になった。
『あのさ、』
彼女の手のひら。
俺の指を一本、握らせる。
『今、挿れてたの、これ。
たった一本。痛かったんだろ?』
『…』
今さらかもしれないけど、
俺は、
"ヤれればいい"っていうのは嫌だから。
なだめるように話す。
『…お前、実物見たことある?』
『実物?』
『そう。勃ってる時の男のアレの実物。』
『…ない。』
指を握った手のひらを開かせ、
そこに今度は俺の勃ったモノを握らせた。
ぇっ…と、驚いたように息を飲む音。
『…これ、挿れるんだぞ?
指よりずっと、痛いと思うんだ。』
『…おっきい…こんなの…』