第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
カチャ。
ほどなく、
ホテルの備品の
薄っぺらいバスローブをまとった彼女が
ドアの向こうから現れた。
困った顔で、質問してくる。
『あの…このままがいい?
それとも制服、着たほうがいい?』
…なんつー質問だ…
『せっかくシャワー浴びたんだから
そのままでいいんじゃね?
なんでわざわざ、制服、着んの?』
『だって及川先輩が、
"まっつんは、制服とかナースとか着物とかみたいな
コスプレものが好きだ"って…』
…及川のヤロー…
『アイツの話、信用すんなって!
そもそも及川にそんな相談するのを
まずはやめてほしい…』
言っておくけど、
コスプレ好きなのは現実じゃない。
ずっと前、AVで好きなジャンルを
及川に聞かれた時に、適当に答えただけ…
あぁそうか、あの質問、
今日、及川がくれたAVのセレクトに
反映されてるわけか。
ずっと前から準備してくれてたんだな、
さすがキャプテン。
…いやいや、んなことはどーでもよくて。
『俺も、シャワー。すぐだから。』
うん、と頷く顔を見てから
バスルームへ飛び込む。
頭からシャワーを浴びて、
部活終わりの汗を全身から流し、
急いであがってとりあえず歯を磨く。
時間がないのと、初 処女相手なことで
ちょっと、想像以上に余裕がない。
俺もバスローブを羽織って部屋に戻った。
『お待たせ…ぉぁっ?!』
ぁぁん、イヤ、やぁぁっ…
部屋に響くエロい女の声。
テレビに写るのは
破れたセーラー服を着た女と
おっさんくさい男二人が
3Pの真っ最中の様子。
『…案外激しいの、好きなんだな…』
『ち、違う、違うのっ!
なんか、緊張するから
テレビでもと思ってつけたら、
どのチャンネルもこんなのばっかりで、
別に、見たくて見たわけじゃなくて、
ていうかこんなの、初めて見たし…』
焦りながら、
結局ブチッと電源ごとオフったようで、
…耳の中がツンとするような、静寂。
"進む"しか、選択肢はない。
俺から、いかなくちゃな。
『…さっきのAVみたいな、
激しいのをご希望ですか?お嬢さん。』
『…いぃえ。ハジメテなので、
優しくしてほしいです…』
『了解。では。』
時間が、ない。
どのくらい前戯出来るだろうか。
緊張してる彼女を
そっとベッドに寝かせながら、
改めて自覚する。
…俺も相当、緊張してるじゃん。
