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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




だけど、
他人のことを考えるような余裕は
そこまでだった。

時間がない。
金も、そんなにない。
俺がリードした経験も、ない。

ないない尽くしのこの緊張を
彼女にさとられてはいけない…と
俺の心の余裕も、全くない。

入り口の部屋のパネルを見る。
部屋を選んでるようなふりをして
実際は金額を一瞬で見比べて
下から二番目の金額の部屋を選び、

持てる記憶を総動員して
さっさと人目につかないように移動し、
部屋に入る。

…ふぅ。もう、疲れた…

どっと肩の力が抜けた時、
手を繋いだままの彼女が
小さな声で言う。

『センパイ、すごく、慣れてる…』

『それ、完全に誤解。慣れてない。』

『でも、ここ、来たことあるんでしょ?
どう見ても、初めてじゃない。』

…くだらない嘘をついてる時間はない。

『それは、認める。でも、かなり前。
年上の彼女についてきただけ。』

『…やっぱり、年上が、好き?
私、ハジメテだから、センパイのこと、
楽しませる余裕とか、ない…』

既に泣き出しそうな声と顔。
…まだ、何にもしてねぇのに、
今、泣かれてる場合じゃねぇ。…

『んなこと、ゼンゼン思ってねぇよ(笑)
年上が好き、なんじゃなくて、
年上にしか相手してもらえねぇの。
楽しむとか、とんでもねぇから。
そんな、遊び人じゃねぇし。
俺も、緊張してるよ?
…な、せっかくの大事な時間、』

ズルいとわかってるけど、
柔らかく抱き締めて頭にキスして、
会話を強制中断。

『シャワー、浴びてこいよ。
…あんまりのんびりしてっと、
俺も一緒に入って、そのままそこで
無理矢理、シちまうぞ?』

訴えるような目で、小さく答える声。

『…やだ、最初はベッドで…』

『だろ?じゃ、いってこい。な?』

腕のなかからそっと離し、
バスルームの方へ押し出す。

ほんのわずかな距離、
何度も振り返りながら、
バスルームへ消えていく彼女。

シャワーの音が聞こえてきて、
やっと俺も、ヒトイキついた。

予想以上の疲労感。
なんか、"ハジメテ"がこういう所って
却って気を使う。
いっそ、彼女の部屋とか体育倉庫?!
みたいな所で"勢いが止まらず"みたいな
シチュエーションの方が、
無我夢中でヤれていいんじゃねーか?

…機会があったら、
花巻にはそうやってアドバイスしよう…

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