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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




『10時に帰りつけばいい?』

『うん。』

『じゃ、もうちょっと遊べるじゃん。
どこ行く?どこでもつきあうよ?』

『うーん、』

『カラオケ?ゲーセン?それともどっか、
ぶらぶら店でものぞきながら歩くか?』

『うーん、そうだね。』

乗り気なのかそうでないのか
よくわからない返事だったけど、
彼女が手を繋いで歩き始めたから
俺もそれについて歩くことにした。

雑談をしながら、ブラブラ歩く。
…というには、少し、違和感。
確かに、店を覗いたり無駄話しながら
歩いてるんだけど、

なんだろうな、
心ここにあらず、というか、
テンポが早い、というか、
会話が短い、というか、

ブラブラしてるようだけど、
足の向く方に迷いがない、
というか。

違和感の正体を探しながら、
彼女について歩いていくと、

急に足取りが止まり、
繋いでいた彼女の手のひらに
ぎゅっと力が入ったのがわかる。

『どーした?』

『あのね、センパイ、』

じわり。
繋いだ手のひらに、薄い湿り気。

…汗?なんで?緊張、してる?

周囲に立ち止まる人がいないことを
キョロキョロと確認し、
クイッと俺を見上げた彼女は、
口に右手を添えて、背伸びをした。

『なに?』

彼女の口許に、耳を寄せる。

『…あそこに、連れて行って欲しい。』

左手が指差しているところを見て
心底、びっくりした。

『…今から?』

『うん。今から。ダメ?』

彼女の指差す先にあるのは、
繁華街とは違った輝きの建物が並ぶ、

いわゆる、
ラブホストリート。

『…知ってると思うけど、18未満は
立ち入り禁止になってる所だぞ?』

『でも、行ってる人、いるよね。』

…うん。俺も行ったことある…

『門限に帰りつこうと思ったら
今からじゃ、一時間くらいしか
いられないぞ?』

『…一時間で、出来ない?』

…何を?と聞くのは野暮だろう。

『こんな、急にバタバタで後悔しないか?』

『しない。
今からセンパイ、春高予選とか受験とか
大事な時期になるでしょ?
会える時間、少なくなりそうだし、
卒業前で、センパイに告白する人とか
いるかもしれないし…
私がセンパイの彼女だ、って証拠を…』

そうか。
化粧をしてたのは背伸びの気持ち。
ラーメンだったのは、
早く食べて時間を作りたかったから。

全部、ここにむかっての決意。

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