第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)
練習後。
後輩達を先に帰らせた及川が
俺達三人を前に、
鞄の中から何かを取り出した。
『もうすぐ、春高の県予選じゃん?』
『おぉ。』
『集中して戦えるように、
俺から仲間達へ、プレゼント。』
手にしていたのは、DVD。
『はい、これ、岩ちゃん。
こっち、まっきー、
んで、これがまっつんね。』
"最後の春高県予選前に"という
手書きの文字の下に、
俺達それぞれの名前が書いてある。
『…おい、どうした、
急にキャプテンみたいなことして。』
『岩ちゃん、失礼だな!
俺はいつだって最高のキャプテン!』
『いつもと違うことすると、負けるぞ?』
『ちょっとマッキー!負けるって言葉、禁止!』
『まさか、お前のスーパープレー特集とか?』
『まっつん、それ、グッドアイディア!
それも作って、今度、みんなに渡そう!』
『…で、結局、これ、何なんだ?
今さら対戦相手の情報でもねぇだろ?』
岩泉の問いに、
フフ~ンと得意気な顔で、及川は答えた。
『もう、県内の敵のことは、
この及川さんの頭のなかで分析済!
これは、余計な雑念なく
試合に臨んでもらうために、
俺の膨大なAVコレクションの中から
一人一人にあわせて厳選した
スペシャルDVDだよ。
ええと、岩ちゃんのは、
"教えて、先生。処女の捨て方
~一生に一度の特別授業~"
まっきーのは、
"性長した俺達
~大人になった同級生 えっちな再会~"
そしてまっつんのは、
"少女も熟女も女は女
~制服も和服も、どんと来い~"
好みにあわせて選んだからさ、
試合前にしっかりこれ見てヌいて、
雑念は家に置いてくるんだよ。』
『俺は教師と生徒モノに、興味ねぇ!』
…と文句を言う岩泉。
『再会、ってことは、
俺と彼女は一回別れる前提?!
不幸な予言すんの、ヤメロ!』
…と慌ててる花巻。
俺は、笑っただけ。
チャラくてアホっぽくて
仲間をおちょくったり、
逆におちょくられたり。
これが及川徹。
スーパーセッターで、
俺らの自慢のキャプテン。
まだギャーキャー騒いでる仲間と
もう少し、一緒にいたい気もするけど。
『及川、サンキュ。俺、先、帰る。』
『あー、まっつん、リア充の顔してる!
試合に差し支えない程度にしときなよ!
特に、腰!』
余計なお世話、と笑い飛ばして
俺は先に部室を出た。
