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~愛ではなく、恋~【ハイキュー‼】

第6章 ~恋と恋の、あいだ~(松川 一静)




翌朝。
夕べのことが嘘のように、
何もかもがいつも通りだった。

綾ちゃんが作った朝飯を、
母と三人で食べる。

二人はいつものように
ニュースの話題や新聞の見出し、
テレビ番組や天気のことみたいな
すごく何でもないことを
相変わらず楽しそうに喋ってたから

きっと、
俺がいつもより少し不機嫌なこととか
いつもより少し口数が少ないこととか
気付いてないと思う。

そんなもんだろ。

なんだかんだ言ったって、
日頃の母は店のことが一番大事だし、
綾ちゃんは
俺みたいな若い男をからかって、
大人の余裕を楽しんだんだろうし。

…俺の頭の中では、
メチャメチャに乱されて
ハンパなく喘いでたけどな。



『いってきます。』

なんとなくイライラしながらも、
家を出る時は一応、
普通に声をかけた。

律儀だから、じゃない。

前のキス未遂事件の時、綾ちゃんに
"動揺するくらいなら中途半端するな"
…って言われたのを覚えてて、

不機嫌な自分をぶつけるのは
"中途半端"だと思ったから。
もう、動揺なんか、してねぇし。



いつものように、

仕事から帰ったままの
キレイに化粧した母親と、

素っぴんにエプロンつけて
主婦みたいな綾ちゃん
…両極端な二人…が
玄関先までやってきて、

『いってらっしゃい!』
『忘れ物、してない?あれ、持った?』
『試合の日程、聞いてきて!』
『気を付けるのよ~!』

みたいなことを
かわるがわる言いながら、
俺を見送る。

本当に、いつも通りの朝。

…いや、違う。
1つだけ、いつもと違うのは、
弁当を持っていない、ということ。

"はい、お弁当。"

…このやりとりだけが、
今日は、なかった。


それだけが、いつもと違う朝だった。


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