第145章 あなたにもう一度後日談(3)あとがき2
数年後___
雪が降り積もった野原。そこで男の子が一人、小さな体を縮め泣いていた。
ーーねぇ、どうして泣いてるの?
突然背後から声を掛けられ男の子が驚いて顔を上げる。するとその隣に一人の女の子がしゃがみ込む。
ーー母上が天国に行ってしまった。父上とも離れ離れにされ、俺は明日から鳥籠みたいな生活をしないといけないと。
ーー……そっかぁ。だから、泣いてるんだね。
夜遅くにまだ幼い子供が二人。
ーー君は誰?何でここに?
ーー……私はね、今夜幻の花が咲くって聞いたからこっそり見に来たの!
折角だから、一緒に見よう!と、女の子は男の子の手を取り走り出す。月に照らされた一輪の花。ゆっくりと光を浴び花弁が開いた。
ーー私はこのお花なんだって!
ーーえ?花なの君?
ーーう〜ん……花なのかな?よく解らないけどお母さんは花じゃないし……でも、このお花の生まれ変わりだって言われた!
女の子はそう言って、ふわりと花のような笑顔を見せ元気よく話す。
ーーこの幻の花のまことの名は「ひまり」って言うんだって!
ーーまことの名?本当の名前ってことだよね??
ーーうん!……あっ!もう帰らなきゃ!見つかったら、叱られるから……。
ーー俺もそろそろ帰らないと。見つかったら叱られてしまう。
二人は立ち上がり、もう一度花を見た。
ーー綺麗だね。また、見れるかな?
ーーこの花は、月が本当に綺麗な冬にしか咲かないんだって!それに次に咲くのは、私がお嫁さんになる時って言ってた!
ーーお嫁さんに??
ーーうん!私は天邪鬼のお嫁さんになるんだって!
ーー天邪鬼になったら、君をお嫁さんに貰えるの?
女の子は首を傾げ、うーん……。と、頭をひねった後「多分」と言って頷いた。
ーーなら、俺が天邪鬼になったらお嫁さんに来てくれる?
ーーうんっ!
幼い二人はただ純粋な淡い気持ちで、小さな小指を絡ませ指切りげんまん……約束を交わした。