第140章 あなたにもう一度後日談(3)前編
唯一、ひまりの言葉が聞こえた信長様は時姫を膝に乗せたままニヤリと笑みを浮かべ、家康に意味ありげな視線を送り揶揄う。
「……あまり息子を厳しく育てておると、後で痛い目みることになるぞ?」
「はあっ!?……ちょ、ひまりさっき竹千代に何て言ったの!?」
「内緒!ね、竹千代?」
『「ね〜〜」』
家康は腑に落ちない表情でひまりの元へ行き、背後から抱き締めた。
「何言ったか知らないけど、例え息子でもひまりは絶対渡さない!!」
「ちょっと、家康!皆んな見てるよ!」
「父上〜〜!母上を離すのだ!」
「いやだっ!!」
「………家康。お前、少しは竹千代を見習え。なぁ〜そう思わんか?時姫?」
「じじ!じじ!」
大人気ない家康から母親を守ろうと竹千代は、必死に父親の腕を引っ張る。その様子をキャッキャッと手を叩いて笑う時姫に、信長はこれまただらし無い顔で膝の上であやしていた。
「おい、まだ宴始まったばっかだぜ?」
「ごほっごほっ。す、すいませんが……もっとみ、水を……」
浴びるほど水を飲み、必死に口の中を治そうとしている三成以外の者は、幸村のその言葉に……盛大な溜息を吐いた。