第140章 あなたにもう一度後日談(3)前編
幸村と佐助は相変わらずな安土組のやり取りに、ポカーンと口を開き……ハッと背中に隠してある物の事を思い出す。それをひまりに見せないように取り出すと、竹千代に向かって手招き。
「お前が選んだんだからよ!母親に渡してこい」
「うんっ!」
「きっと、喜んでくれるよ」
竹千代は嬉しそうにそれを抱えひまりの前まで行き、小さな背中には隠しきれない大きな箱を可愛らしく隠すと、照れ臭そうにもじもじと動く。
そんな愛らしい我が子の姿にひまりは、優しい笑みを浮かべそっと手を伸ばし……どうしたの?かと尋ねる。
「……いつか竹千代も父上みたいに立派になって母上を守れるような男になる!そしたらお嫁さんは無理でも、ずっと側におってくれるか?」
「ふふっ……そんな嬉しい事を言われたら泣いちゃうよ?私の方こそ、ずっと一緒にいてね」
竹千代が差し出した贈り物の中身を見て、ひまりは歓喜の涙を流す。竹千代の小さな体をぎゅっと抱きしめると、何度も何度もありがとう。と、喜びを伝えた。
そんな親子の仲睦まじい姿に、その場にいた全員は優しい眼差しを向け見守る中……ひまりは突然、竹千代の耳元に手を当て小さな声で何かを囁く。
「でも、あんまり立派になりすぎないでね?父上より好きになってしまったら、大変だから」
ひまりは赤くなる竹千代に向けて、今のは家康には秘密だよと言って唇に人差し指を立てた。