第140章 あなたにもう一度後日談(3)前編
聖夜の夜___
安土城にて盛大な宴が幕を開けた。
「竹千代五歳おめでとう!それと……」
『『「メリークリスマス」』』
集まった全員が一斉に声を上げ、手に持った器を掲げる。広間の真ん中に置かれた長机の上に政宗が腕によりをかけたご馳走が並び、ひまりと子供達は目を輝かせ思わず拍手を送る。
「凄い!!チキンまであるっ!」
「三日かけて仕込んだからな。本当はもう少し早めに仕込む予定だったんだが」
政宗は背中に羽をつけ、満面の笑みで料理を口にする三成に視線を投げかけた。
「どっかの役立たずが、鳥を捕まえるのに手こずりやがった」
「手こずったのではありません。少し作戦を立てるのに時間が掛かってしまったのです」
「……どうでも良いけど、何で三成が俺の隣でひまり達が髭親父の隣なわけ?」
自分達より一段上に座る赤い衣装を纏った信長に、家康は目尻を険しく細めあからさまに不機嫌な態度をとる。
「たまには娘と孫に挟まれて、水入らずの時間を過ごしたいそうだ」
「ひまりが消えそうになった時、この世の終わりみたいな顔してたからな」
秀吉と光秀にそう言われ、家康は渋々酒を口に運び今夜はひまりをとことん独り占めしてやろうと決意し、一先ず今の収まらない怒りの矛先を三成に向け……家康は自分専用に作られた料理の皿を、三成の皿とこっそりすり替えた。
「政宗様、この料理はこれ程にも赤い物なのですか?……ぱくっ」
「は?……赤い料理なんて家康以外に作って……み、三成それっ!!」
「ゴホッゴホッ!!!!か、か、か、か、っ!?」
「(ばーか)」
後ろを向いて舌をペロリと出す家康。その姿は父親らしからぬあどけない姿。