第138章 あなたにもう一度後日談(2)後編
「今日はありがとうございました」
「また、ぜひ遊びに来て下さいね」
「はいっ!」
俺達は帰る前に礼をし、その場を後にした。
安土城に向かう頃、すっかり日は暮れていて俺の背中には竹千代が寝息を立て、ひまりの腕には時姫が眠っている。
俺達はお互いのいきさつを話しながら、肩を並べゆっくり歩く。
「えっ!?未来の世界に居たの?」
「……まぁ、夢だったけど一応ね。確かその時にひまりの亡くなった父親の写真を見たんだ」
ずっと職人の顔を見て引っかかっていた事が、ひまりの話を聞いてやっと解る。
「あの女の人もお母さんにそっくりで驚いたけど、別人みたいだし……うーん……」
ひまりは混乱する頭を整理しようと、首を傾げ一度立ち止まる。
「……でも、すっごい幸せそうだったね!」
そしてまるで自分の事のように喜ぶひまりを見て、思わず俺も口元を緩め立ち止まる。
「……で?ひまりは若かりし頃の俺と何したの?」
「えっ///」
俺は来世で若い頃のひまりと出逢ったように、ひまりは若い頃の俺と出逢った迄は解った。
しかも元服寸前の俺と。
(そんな赤い顔して、夕日のせいにしたら許さないよ)
「え、えっと…そのっ///だから……つまり……」
視線を泳がし口籠る姿を見て、大体の想像は出来る。このまま連れ帰って全部白状させたい所をグッと我慢。
(流石に宴に出ないと後で面倒臭いことになるし……)
赤い衣装を着た鬼が狂う姿を想像し……
俺は諦めた。
「……いいよ。帰ったら、ゆっくり身体で説明して貰うから」
掠めるように口づけをした後、何食わぬ顔で再び歩き始める。
「家康の変態!」
「ひまりの浮気者」
「最後までしてないもん!」
「へぇ……。最後までは?」
「うっ……」
「ち、ちうえ、は…はうえ喧嘩しておるのか……?」
「し、してないよっ!」
「そうそう。仲良くしてただけ」
俺の中で一日は、
まだまだ始まったばかりだった。