第137章 あなたにもう一度後日談(2)中編
一日中歩き回り、親子水入らずの時間を過ごしている間に、昨夜の出来事が全て夢だったかのように……時が流れてゆく。
まだ昨夜のことを思い出して表情を時々曇らせながらも、ひまりは笑うたびに心を取り戻して子供達とはしゃぎ、言葉一つ、行動一つ、今の時間を大切に過ごしていた。
(だからって……)
ちょっと手を離した間に、
別に迷子にならなくても……。
「はあ……竹千代。やはり母上は、困ったお姫様だ」
「母上……父上とおる時は普段よりはしゃいでおるから」
盛大な溜息を吐く俺とは違い、竹千代はいじけた様に小石を蹴る。
(仕方ないな……)
俺は持っていた手土産を小さな背中に括り付けた。
「俺といる時じゃなくて……」
そして背後から竹千代の脇を抱える。
「ひまりが一番はしゃぐのは、家族で居る時」
「わあっ!!」
ひょいと自分の肩に乗せ「ほら、これで探しやすいだろ?」と言うと、竹千代は一瞬戸惑いながらも元気よく返事をして俺の頭に手を置く。
「父上!高い!凄い!」
「……こら、暴れるな。しっかり前を向いて探せ」
念のため逸れた時の事を想定して、ひまりには場所の説明はしておいた。
(向かう途中に、合流出来れば良いけど……)
滅多にしない肩車に竹千代は喜び、キョロキョロと首を動かしながら辺りを見回す。
「母上、背が小さいから見つけにくい」
「……すぐ見つかる。あんな美人、他に居ないから」
「そうであった!」
ひまりには絶対に聞かせれないような会話をしながら、足を進めて行くと……突然頭上で竹千代があっ!と短い声を上げた。
「おった!!」
てっきりひまりを見つけたのだと思い、指をさした方向に視線を向ける。
するとそこにはひまりの姿はなく……
(あの女……ま、さか………)
俺は肩からゆっくり竹千代を下ろす。
「父上、おった!母上ぐらい美人な人!!」
女と目が合った瞬間……
息を呑んだ。