第136章 あなたにもう一度後日談(2)前編
キョロキョロと辺りを見回す。
見渡す限り凄い人の数に、私は時姫を抱きながら息を吐いた。
「時姫、ごめんね。二人と逸れちゃったみたい……」
「???」
時姫は花の髪飾りをつけた頭を傾け、不思議そうに私を見上げる。戦国時代でもやっぱり「お正月」という行事はあるみたいで、今日は新年を迎える一週間前の日。
(夜に竹千代のお祝いとクリスマスパーティーをするって聞いて、お城に何かお土産買いたかったのに……)
勿論、城下町の賑わいが凄い事は家康から事前に聞かされていた。だから、さっきまでは時姫も家康が抱っこして三人で手を繋いでいたんだけど……ちょっとした隙に見失ってしまう。
ーーうわぁ、可愛い〜。ちょっとだけ、時姫とあのお店屋さん見て来ても良いかな?
ーー良いけど、迷子にならないでよ。
さっき、そう言われたのに。
(やっちゃった………)
他の小物屋さんや出店に目を奪われている間に、見事に逸れてしまった。
(どうしよう……)
職人さんに渡す手土産は家康が持っているから、竹千代と先に行ってるかもしれない。
(行き方は大体聞いたから、向かう途中で会えると良いけど)
携帯さえあれば、
現代ではすぐ解決出来たのになぁ。
思わずそんな事を考えながら、人をかき分け家康と竹千代の姿を探しながら歩いていると……肩に衝撃が。
《ドンッ!》
「わあっ!!」
誰かとぶつかった事で髪飾りを落としてしまう。
(大変!今朝、家康から貰ったばっかりなのに!)
人に踏まれる前に急いで拾おうとした時……。
「これは…………。君、もしかして徳川さんの嫁さんかい?」
(え…………)
どうして解ったんだろう?
疑問に思いながら差し出された花の髪飾りを受け取り、顔を上げる。
(う……そ………)
スラリとした背の高い男の人。その人を見て、私は言葉を失った。