第134章 あなたにもう一度〜エンディング〜
神が昇った丸い満月を見上げ、この僅かな時間が物凄く長い時間だったように思えて……目覚めてからの色んな事が、一気に押し寄せ、私は家康の胸に倒れ込むように、寄り掛かかる。
「……とんだ天邪鬼な神に好かれたな、お前」
幸が慰めるように私の肩に手を置いた瞬間……勢いよく滑り落ちた涙。
「幸村!何、ひまりさん泣かせて!」
「ちょ、ちょっと肩触っただけだぜ!わ、悪りぃ!泣かせるつもりは……」
私は家康の胸にしがみ付き首を横にブンブン振り、幸は何も悪くないと伝える。
「……ほら、ずっと一人で色んなもの我慢するから」
家康は私の気持ちをすぐ解ってくれて、少しでも落ち着くように抱き締めてくれる。ずっとこうして欲しかった……素直にそう口にした後、咳出すように泣き始めた私。久々に声を上げて泣き出す私に家康は何も言わずにただぎゅっと……静かに受け止めてくれた。
「今は、そっとしといてやろう」
「後は、家康の役目だ」
「これで明日は盛大なお祝いが出来ますね」
「早いとこ、仕込みでもするか」
安土組の皆んなの声が遠ざかっていく。
「俺らも邪魔しちゃ悪りぃから、帰ろうぜ!」
「そうだね。……あれ?信長様は?」
「真っ先に帰ったみたいだぜ、赤くなった目でも見られたく無かったんじゃねえか?」
私が泣き止み落ち着く頃。その頃には、寒空の下に皆んなの姿はなくなっていた。