第133章 あなたにもう一度第三幕(20)
「ひまりやめろ!!」
もがきながら声を張り上げ、神に心を差し出そうとするひまりを止める。
失いたくない。
渡したくない。
守りたい。
「まだ!まだっ!!ひまりの気持ち聞いてない!!」
どんな気持ちで、目覚めてから過ごしていたのか。
俺が見えなくて、子供が見えなくて、どんどん周りの人間が見えなくなって……どれ程不安だったか。
何で、感情を出さなかったのか。
何で、嘘をついたのか。
どんな思いで、俺に抱かれたのか。
どんな思いで竹千代の袴を仕立て、時姫の髪を結い、俺達に贈り物を残したのか……どれだけ辛い思いをして一人で耐えていたのか。
俺はまだ、何一つ知らない。
「二人で何でも話そうって決めたし、まだ約束も守って貰ってないし、俺の分の約束だって交わしてない!!!」
「………だから、だよ?私が天女でいる限り約束は守れない」
約束を守りたいから。
神の手に眩い光の花が乗った瞬間、俺の身体は自由を取り戻し……刀を放り投げ、崩れ落ちるひまりの身体に手を伸ばす。
「ひまり!!」
「……確かに。これなら咲かせれるかもしれんな」
神はそう言って、何の躊躇いもなくその光を握り潰した瞬間……横抱きに倒したひまりの身体に、光が集まり始め……母親が花に変わる前と同じ光景が、腕の中に広がる。
「しっかりしろ!ひまり!」
他の皆んなもひまりを囲むように集まる。
「……ふ、ふっ。も…しかして、皆んな凄い顔してる?」
柔らかい声で笑いながら、涙を流すひまり。
「……ひまり、無理に笑うな。それよりも貴様らしく、家康に駄々をこねて困らせてやれ」
「……っ……い、いの?」
目に涙を溜めた瞳が、俺の方に向けられ……俺は返事の代わりにひまりの身体を起こし、正面から抱き締める。