第133章 あなたにもう一度第三幕(20)
風に交じりながら、消えた母の声。
「う、そ……だろ、花に……」
誰かがそう呟く。それを聞いて目を擦り涙を拭くと、地面の上に母の姿はなく代わりに綺麗な花が咲いていた。
満開に咲き誇った花。
見ているととても温かくて、じわりじわりと優しさが心に染み込んでくる……そんなお母さんみたいな綺麗な花だった。
「………次はお前だ」
フラつきそうな足を一生懸命立たせる。
金色の瞳と私の瞳が強くぶつかる。
「ひまりやめろ!!」
大好きな家康の声。やめろって何回も連呼しながら必死に呪縛を解こうとしている状況が掴めた。
「……差し出した後、呪縛を解いてやる」
なんの感情も読めない神の冷静な声。でもその言葉に偽りがないのは分かる。
「解りました」
私は返事をすると胸に両手を当て、腕を伸ばす。神の前に差し出した心の花。
私の心。
どうか、どうか。
強く、強く……咲きますように。
そう願いを強く込めた。