第133章 あなたにもう一度第三幕(20)
自由を奪われた手。
(家康っ!!……)
心の中で名前を呼び、
絶対に同意なんかしない。
そう、固く誓った時……
肩に伝わる軽い重み。
ふわっと身体を後ろに引かれ、
神に掴まれた手が解かれた。
「だから……天邪鬼な神に何を言っても無駄だって」
「……呪縛を解いたか」
その声を聞いてハッと息を飲む。
何で。
何でいつも……
私はこの背中に守って貰えるんだろう。
大好きな声と香り。
それが見えないはずの私の目に、逞しい大きな背中を映してくれた気がして……嬉しくて堪らなくなる。なのに……さっき神に手を触れられしまい、時を止めていた力を解かれてしまった。
「……ようやく、天女に戻るか」
神がそう呟いた時、
満月の光が今度は私を照らす。
「やっと身体が動いたぜ!!」
元気な幸の声。
「な、何だ光が急に!!」
秀吉さんの慌てた声。
「止まってた時間が……!」
佐助君の驚いた声。
皆んなの声。
それが少し離れた所から聞こえて……。
「ひまり!!」
「ご、……めんなさいっ」
真っ直ぐ地上に降り注いだ月の光が、私を本来の姿に戻す。地に着くぐらい髪は伸び、額には三日月模様が浮かび上がり……私の肩に掛かった白い霧のような紐状の長い衣が、ひらひらと風に揺れながら流れる。
(見られたくなかったのに……)
この姿だけは。