第132章 あなたにもう一度第三幕(19)
「何度言われても、気持ちは変わりません!!」
「神」を睨み付け、ひまりはその場に立ち上がり……叫び声を上げる。少し掠れた声。その声を聞いて、今まで必死に何かを訴えていた事が伝わってくる。
(ひまり……っ)
存在を知らせる唯一の手段を奪われ、
必死にもがき続けた。
(動……けっ!!)
「あの子達の、母親は私です!私が諦めるわけにはいかないっ!!」
「………お前が育てるのは、神の子だ。いい加減諦めろ」
後ろに下がるひまりに、じりじりと近づく神。
(や、め……ろ……)
「嫌ですっ!!それにまだ、沢山支えて貰った皆んなに……私は何一つ返せていない!!」
「……返す必要などない。事が済めば全ての者の記憶を消してやる」
その言葉にひまりの瞳から涙が溢れ……唇から赤い血が滲む。
(そ、れ以上……近づく……な)
「な、んでっ……そんな……簡単に。神である貴方がっ……何故そ、んなに非道な事をするんですかっ!!!!」
「……神とは不幸、悲しみ、辛さ、不安……人間にそれらの感情を与え、その先にあるものを導かせる。それをどう感じ、思うかは……自由だ」
神はひまりの手を掴み……
「さ……わらない……で……」
(く、そっ……!!!)
「わ、た…しは……」
(ひまり……っ!!!)
「私は、 家康に全てを捧げました!!」
例え神でも、触らせない!
「家康以外、ぜっ、たい……絶対無理なんだからっ!!」
「……だから」
天邪鬼な神に何言っても無駄だって。
俺はひまりを背中に庇い……
刀を「神」に向けた。