第131章 あなたにもう一度第三幕(18)
「一体、二人に何を!!」
「……少し眠らせただけですので、心配はありません。それよりも……」
天女は俺の前に跪くといきなり涙を流し、両手を付ける。そして床に額が擦り付く程、深く頭を下げた。
「あの子を……助けて下さいっ!あの子は、何一つ記憶など失っていなかった!」
「あんた、まさかあいつの母親!!何で、今頃のこのこ現れて!!」
幸村が天女に詰め寄ろうとするのを、隣に居た佐助が手で道を塞ぐようにして、止める。
「幸村、泣いている女性にそんな口の利き方は、失礼だ」
すると幸村は舌打ちをして、その場に止まった。
「ひまりは、一体どこに!!」
俺は子供達を近くに居た政宗さんに預け、詰め寄る。すると天女は更に涙を溢れさせ……乱れた髪さえ気にせずに左右に振った顔。
「あ、の子はっ……っ、あの場所に……っ…覚悟を決めて向かいました」
あの野原に……。そう、ぽつりと声を落とす。
「今夜、あの子は天女(てんにょ)に戻ります!それが貴方の分を背負った罪だからです!」
(ひまりが天女……)
確かに、薄々はそんな気はしていた。
今までの事を考えれば……決して不思議ではなかった。しかし、はっきりとそう言われ……今度は心が大きく揺れる。
口を閉ざした俺に、天女はすすり泣くようして話を続け……天女に戻れば、昼間は会えないと。下手したらもう下界に降りる事さえ、許されないと。
「貴方と触れ合う事ももう、出来なくなります!再び間違いを起こば、神は今度こそ許しては下さらない!」
「それが罪なら何故、俺達の姿を……そんな辛い想いをひまりにさせる必要が一体何処にあるんだっ!!」
怒りの矛先を何処に向けて良いのか解らず、戸惑いをぶつける俺。
「家康!落ち着け!」
見兼ねた秀吉さんは荒い呼吸をする俺の肩を掴み、後ろに下がらせた後……話の続きを天女に頼んだ。
「……契約を結ばす為です。いくら神でもあの子の同意が無ければ成立しませんっ!」
「……契約とは何ですか?」
三成の問いに天女は少し言いにくそうに顔を伏せた後、重たい口を開いた。
「神に全てを捧げる契約です」