第128章 あなたにもう一度第三幕(15)
「多分、ひまり。俺達も見えてない」
秀吉さんの言葉に、俺は反応して視線を向ける。すると近くに居た光秀さんが今朝家を訪ねてきたのは、それを確かめる為だったと話した。
「佐助と幸村がこの前気づいたらしい。後、ひまりの記憶が戻ってる可能性もあるらしいぜ」
「えっ!?でも、まだ話し方とか表情は余所余所しいし……」
確かに、昨夜自分もそんな気がしていたが……何よりもし記憶が戻っていたら俺や子供達が見えない時点で、取り乱したり泣きじゃくるはずだ。
辛くて、耐えれないはず。
「あくまでも可能性です。この前竹千代君が教えてくれた話が、少し引っかかって」
「竹千代が??」
「何でも、父親と自分とどっちが好きか聞いたらしいぜ?」
そしたら……
ーーどっちなんて絶対選べないぐらい、二人共大好きだよ。もちろん時姫も同じだし、家族みんな私の一番だよ!
「って答えたらしいぜ?」
「いかにも彼女が答えそうな、感じがしませんか?」
「………確かにそうだけど」
「しかもお前に抱かれるのに抵抗がなかったのなら、その線は強い」
「なら、何の為に記憶を失ってるフリをする必要があるんですか?」
光秀さんの言葉を聞き思わず、赤い衣装を着た誰かさんを睨みつけた後……俺は納得できなくて、言葉を返す。
確かに抱いてくれと言われた時は、驚いたし昨夜のひまりは俺の知っている姿……いや、それ以上だったかもしれない。
(めちゃくちゃ可愛かったし)
しかしあの正直者のひまりが理由もなく、そんな事をするはずがない。
「……だから、今夜お前の所に行って確かめるんだとよ」
「それは構いませんけど、ひまりが嫌な思いするようでしたらすぐ帰って下さいよ」
後、そんな格好で来ないで下さい。俺はそう付け足し、着替えが終わるのを待った。
この時、俺がもっと早くにひまりの気持ちに気づいて……一日中側に居てあげれば……後で、どれぐらい後悔したか解らないぐらい……後悔した。
ひまりを抱いた安心感から、
もう一度二人で始めたら良い……
この時は不安よりも、希望、期待。
その気持ちの方が、遥かに上回っていた。