第128章 あなたにもう一度第三幕(15)
私は子供達と手を繋ぎ朝から色々な場所に行って、親子水入らずの時間を過ごして居た。
女中頭さんには、ひまりちゃんの実家の団子屋さんで待って居て貰うようにお願いして、石碑の前で二人に家康との思い出話をしたり、竹千代が産まれた時、時姫が産まれた時の話をした。
「父上と、この場所で愛を誓ったんだよ?」
「愛を誓う?」
私はしゃがみ込み、声が聞こえる方に向かって手を伸ばし……おいで。と言うと、二人は私の腕の中に来てくれた。
「……そう。ずっと一緒にいようね。って約束したの」
二人をぎゅっ、と包み。
頬を合わせる。
「……だから、二人にもずっと大好きだよ、って約束したくて」
「父上よりも?」
「ふふっ。前にも言ったように父上と同じぐらいだよ!私の一番は家族みんなだからね」
「い、ばんっ!」
「そう、一番だよ!!」
私は二人をもう一度抱き締め、付けていた耳飾りを取り竹千代に渡す。
「一個は前に時姫に渡したから、もう一個は竹千代に渡して置くね」
「でも、これ母上の大切な物では?」
「大切な物だから二人に、持っていて欲しいの。私には櫛があるから」
二人に見せるように懐から取り出し、三人でお揃いね?と言うと、二人の元気の良い声が聞こえた。
「これで二個目だ!!」
「二個目??」
竹千代の言葉に思わず私は首をかしげる。
「父上の宝物も貰ったから」
(家康の宝物……?なんだろう?)
竹千代は貰ったというより、立派になる日まで預かって欲しいと家康に言われたことを教えてくれた。
何を預かったかは男同士の秘密みたいで、私には内緒だと言われたけど……竹千代の嬉しそうな声を聞いて、きっと素敵な物なんだろうなと思い、何故か私まで嬉しくなる。
「私達もそろそろお団子食べようか?」
三人で手を繋ぎ、何本食べようか相談しながら赤くなり始めた空を見て……必死に涙を堪えた。
夜なんて来なければ良い。
そう、思わずにはいられなかった。