第127章 あなたにもう一度第三幕(14)
朝餉を終えた後、俺はある物を取りに行こうと身支度をしていると、女中が呼びにくる。
「家康様、皆様が玄関先に来ております」
「皆様?」
多分信長様達の事だろうが、大勢押し掛けてくる理由が解らず……取り敢えずは玄関へと向かう。
すると後片付けを終えたのか、俺よりも先に信長様達を出迎えるように、玄関先にちょこんと正座をするひまりの姿があった。
「……何ですか。朝早くから」
不機嫌極まりない声で言うと、
「ちょっと確かめたい事があってな」
秀吉さんはそう言って、俺の肩を掴み……「話があるから、後で城に来い」俺にしか聞こえないように小声で、そう呟いた。
「ひまり様。明日、竹千代様の五歳を迎える祝いに城に来て頂きたいのですが、ご都合の方はよろしいですか?」
「…………はい。お気遣い頂きありがとうございます」
「では、明日の夜。待っておるぞ」
信長様はひまりにそう告げた後、
俺に向かって手招きしスッと目を細め……。
(いやな感じ)
嫌な予感を感じながらも近づいた瞬間、
思いっきり耳を引っ張られた。
「いっ!な、何ですかっ急に!!」
「ほざくな。あの赤い痕は一体何だ?……説明しろ」
「共に暮らす内に血迷ったなどと……下らん言い訳など聞かんぞ」
一瞬何の事か解らず……やっと内容を理解した俺は引っ張られた手を振り払う。
「……同意があった上です。じゃなかったら、ひまりが嫌がるようなこと。無理矢理しません」
「お前は手が早い、前科があるからな」
信用ならん。
相変わらずのお節介親父。
ひまりが俺達の会話に首を傾げながらキョトンとしているのを見て、俺は再び隣に戻り、皆んなを玄関から追い出した。
「俺少し用事に出掛けるけど、夕方には戻るから……」
「……はい。私も今日は少し子供達と出掛けたくて……女中さんにも同行お願いしてありますので、構いませんか?」
「解った。外、寒いから風邪ひかないようにね」
ひまりは、少しだけ笑い頷いた。