第122章 あなたにもう一度第三幕(10)
(佐助視点)
賑やかな城下町。
もうすぐ新年が近いせいか普段よりも、活気に溢れかえっていた。
「母上、何を贈れば喜んでくれるかの?」
「あいつなら、基本何でも喜ぶからな。まぁ、今はちょっとわかんねぇ……っ!ってぇ……おいっ!佐助、いきなり殴るなよ!」
「幸村が要らない事を言わなければ叩かない。あれ?……あの店……」
一軒の店の看板を見て、思わず立ち止まる。
(道具屋か………)
「……針道具はどうかな?ひまりさん裁縫得意だから」
「それは良い!母上この前、仕立てておって生地が固く、針が壊れてしもたと言っておった!」
「なら、丁度良いじゃねぇか。ついでに女が好きそうな道具箱を選んでよ!」
竹千代が嬉しいそうに幸村を引っ張り店の中に入って行くのを見て、俺も後に続く。店内に入ると思った以上に人が多く、見て回るのも一苦労。
幸村は棚が良く見えるように竹千代を抱え歩き回り、目ぼしい物を探し始め……。
「この色、母上が好んでおる!これにする!!」
竹千代はひまりさんの好きな黄色の花模様があしらった道具箱を見つけ、人差し指を指す。
「これか?……お前、ちゃんと母親の趣味。解ってるんだな」
そんなに好きか?と幸村が何気なく聞くと……竹千代は驚くほど瞳をきらつかせ、頷く。
「うんっ!本当は母上をお嫁さんに欲しいけど……父上に絶対駄目だと叱られた」
「ったく、あいつ。我が子にもそれだけは譲らないか。そんなの無視して、奪ってやれ」
「でも昨日、母上に父上と竹千代どっちが好きかと問うたら…………………」
『「えっ!!!」』
俺達はその話を聞き、思わず同時に声を上げた。