第121章 あなたにもう一度第三幕(9)
昼過ぎ___
俺は部屋に向かう。時姫を寝かしつけたひまりを呼び出し、出掛ける準備をするように伝えた。
「………何処に出掛けるのですか?」
突然の誘いにひまりは、少しだけ戸惑いを見せる。それもそうだろう……目覚めてから一度も二人では出掛けていないのだから。俺は、なるべく不安にさせないように近くで話す。
「すぐ、近くだから。……手、繋いでも良い?」
ひまりはじっと自分の手を見つめた後……小さく首を縦に落としてゆっくりと前に差し出す。俺は安堵の息を吐き、その手を取り歩き始めた。
何度も二人で歩いた道。
言い合いしながら。
笑い合いながら。
数え切れないほどの思い出が、この道中にあって……最後に一緒に歩いた日の事を思い出す。
ーーねぇ、家康?今度は何を約束する?
ーー……ひまりがしわしわのおばあちゃんになっても、愛し続けることとか?
ーーえーーっ!!何それっ!?
あの後、俺が本気だと言うと拗ねた様に……張り切ってたのがまだつい最近のようだ。
ーーだって!それ、しわしわのおばあちゃんになる前提でしょ?いいもんっ!私は頑張って可愛いおばあちゃん目指すからっ!
ーーぷっ、普通そこ拗ねるとこ?
ーー女はいつまでも好きな人の前では、可愛くて綺麗でいたいの!
(あれからそれ程、月日は経っていない……)
まだ、俺の分の約束を交わす前に離れてしまった。