第121章 あなたにもう一度第三幕(9)
翌日___
厳しい寒さが少し和らいだ日だった。
「母上!!佐助と幸村と城下町に行ってきても良いか?」
「………気をつけていってらっしゃい。二人を困らせないようにね」
「はいっ!」
竹千代はスッと片手を天井に向ける。
「……竹千代を宜しくお願いします」
「おぅ!美味い団子土産に買って来てやるよ!」
「では、いってきます」
「母上、父上いってきます!」
ひまりは声だけを頼りに、そっと手を伸ばし竹千代の頭を撫で、玄関が開くのと同時に見送るように手を振った。
三人が出掛けたのは、明後日のクリマスにこっそりひまりに贈り物を用意する為。
その事を事前に知らせに来た二人に、俺は自分と子供達がひまりの目に映っていない事を話した。
ーーなら、俺達が出掛けている間に二人で話し合ってはいかがですか?記憶がないとは言え、それでは彼女も不安でしょう。
佐助の助言はいつも的確だ。
(……今の気持ち。それを聞いてあげないと)
行く当てがなく、仕方なくここに居るのかもしれない。
夫婦だと聞き、自分に子供が居ると聞き、不安な中で我慢をさせているならひまりに一番良い方法を、一番良い環境を作ってあげたい。