第118章 あなたにもう一度第三幕(6)
家康が寝静まった後、あの時のようにこっそり部屋から抜け出し月を見上げる。
はぁ……と白い吐息が暗闇に浮かび、冷たい風がみるみる体温を奪い始めた。そっと家康に触れられた髪を掬い、そこに口づけを落とす。
(………辛いのは仕方ないよね)
すっ、と我慢していた涙が流れ……。
首だけ動かし、月を見上げながら……
「必要だから……か」
さっきの会話を思い出し、膝を抱え体を丸める。
私の罪は少しずつ進み始め、じわじわと追い込んでいく……。
ーーお願いします!!彼は今まで辛い想いを沢山して…やっと自由にっ……だから、これから誰よりも幸せになって欲しいんですっ!
ーーしかし、お前に触れた罪は重い。知らずとはいえ、天に一番近い姫と交わった。
ーー私に私に、彼の分の罪を償わせて下さい!勝手に下界に降りて、自ら望んだことです。全ての罪は私にあります!!
ーー……ならば、命までは奪わずともお前と出逢い交わった記憶だけは消す。
ーーはい。……その覚悟は出来ています。