第117章 あなたにもう一度第三幕(5)
俺がその場に座り込み溜息を吐く。すると廊下を走る慌ただし音が聞こえ視線を移せば、三成が手に持ちきれないほどの菓子を持ち近づいてくる。
「ご一緒に如何でしょう?珍しいお菓子を信長様が沢山ご用意して下さりました」
「……だからって、その量。多すぎ」
「糖分は頭の活性に良いですから。少しでもひまり様の記憶が戻る……何かのきっかけになるのではないかと思いまして」
三成はニコニコと相変わらず胡散臭い笑顔を振りまき、ひまり達が居る方へ向かいちゃっかり自分も会話に加わっていた。
「……あいつなりの気遣いだ。折角だ、俺達も食おうぜ」
縁に腰掛け、茶を飲みながら他愛のない話で盛り上がる。けれどやっぱりひまりは、俺に一度も目を合わせようとはしない。たまに目が合えば余所余所しい態度で頭を下げるか、目を逸らす程度。まるで他人だ。
目覚めた時に一瞬感じた違和感。
母親が言っていた俺の分の罪。
それがずっと俺の頭に引っかかったまま、気がつけば夜になっていた。