第117章 あなたにもう一度第三幕(5)
ひまりは庭先の縁に腰掛け、柔らかい微笑みを浮かべながら子供達の話を聞く。
「時姫が、馬から落ちそうになってな!三成様がそれはそれは真っ青な顔で慌てておった!」
「お、うまたん!」
「ふふっ……」
「あと、甘味屋で団子食べて……」
来る間の道中の出来事を身振り手振りを使って話す二人に、時々相槌を打ちながら根気よく聞いていた。
「……ああ、やってると……記憶を失くしてるようには見えないが」
政宗さんは柱にもたれ、三人に視線を向けて呟く。
「……はい。でも俺にはあんな風に笑ったりしません」
側に居ても近づいただけでビクビクして……触れる事さえ出来なくて。俺が何か聞けば、短い返事が返ってくるだけ。
まるで人形になったように、何一つ感情を見せなかった。
「来世に戻った時も記憶を失くしてたんだろ?また、そのうち思い出すだろう。あんまり落ち込むな」
「……何か、俺だけ眼中ないみたいにずっと無表情で……あんなひまり今まで見た事ないから……」
(どう接したら………)
ーーもうっ!!家康の意地悪っ!
ーーふふっ、ありがとう!
ーーわぁっ!!すっっごい、綺麗だねっ!
表情をくるくる変え、愛らしい姿のひまりしか俺は知らなかった。