第116章 あなたにもう一度第三幕(4)
(ひまり……)
そっと頬に触れ、手を自分の口元まで運び祈るように目を瞑る。恐らく俺達とは全く別の夢の中に、ひまりは居る。佐助が言うには、そこには俺達も違う形でいる可能性が高いと。
(一体どんな夢を………)
側に自分は居るのだろうか……。
そう思った時、
微かにひまりの手が動いた気がした。
「んっ………」
「ひまり!!!」
俺の声に反応して信長様達も側まで移動し、枕元を囲むように集まり、一斉に声を掛ける。
すると、瞼がゆっくりと持ち上がり……自分の手と繋がる手に視線を追いながら、その先に居る俺と目が合った瞬間……。
(え………)
その綺麗な瞳は……
俺を映してはいなかった。
「……………あなた方が、誰なのか私には解りません。でももし、あなた方が私を知っているのでしたら……」
絶望した、感情のない声。
「私が一体誰なのか、教えて下さい」
俺はその声と言葉に息を呑んだ。
バクバクと鳴っていた心臓が一瞬で止まる。
受け止めれない「真実」が
俺をどん底まで突き落とし……
「過去」が、
一番失いたくない大切な存在を
奪ってしまった。