第116章 あなたにもう一度第三幕(4)
政宗さんと三成に後から子供達を連れ、ゆっくり安土城に来て貰うように頼み、俺は一足先に戻った。
ひまりが目覚める前に側に居てあげたくて、無我夢中で向かい、城に着く頃には身体の疲労が半端なく襲う。今にも倒れそうになりながらひまりを想う気持ちだけが、俺を突き動かしていた。
「家康、少し休んでこい」
一通り話をした後、秀吉さんはひまりの隣に座り込む俺の肩を叩く。
「………いえ、俺は大丈夫です」
俺を首を左右には振らず、声だけで返事をした。今は、自分の事なんてどうでも良い。
もし、本当に記憶を失っていたら……
そう考えただけで、気が気じゃなかった。
目を開けて欲しい。
でも覚ますのが怖い。
俺の不安と恐怖を唯一、和らげてくれたのは手から伝わるひまりのぬくもり。
「……子は後から来るのか?」
「はい。当分の間、御殿で暮らそうかと……」
俺は信長様にそう返事をし、自分より小さい手をぎゅっと握る。城を暫く開け、前に御殿で仕えていた女中や家臣だけ戻るように伝えて来ていた。
ひまりの状態を見て判断するよりも、移動する負担を減らしたかった。
それに、意識がなくなる前は……早く子供達に会いたいとずっと言ってたし、子供達にも淋しい思いをさせた分、会わせてやりたい。
もし本当に記憶を失っていたら、
こっちの方が環境が良い気がした。