第115章 あなたにもう一度第三幕(3)
天罰が下り、天の力で新しい生を受け、同じ時を過ごす事が出来ない来世の世界に五年間だけ側にいさせて欲しいと許しを貰い、あの子を連れて来た時……黄色一色に咲き乱れた花畑を見て、青年が贈った名前をあの子に付けた。
母親の私があげれられる最初の贈り物。
そして……
天界の者は本当にあの子を愛していた。
だからこそ、あの場所に沢山の種を植えた……幻の花によく似た花を。もしも本当に時を越えた時、二人が出逢う道標になるように……辛い天罰を受けたあの子への責めてもの思いやりの証に。
変えられるかもしれない歴史と運命を信じて。
そう話を少し変え、言い残したのは……五歳を迎えるあの子にあげられる最後の贈り物だった。
ーー人間との交わりは罪が重い。それでもあなたは、行くのですね。
ーー……ごめんなさい。私は一晩でも彼に愛して貰えるなら、例え重い罪でも受け入れます。
あの時の、
あの子の気持ちは
私には解らなかった。
けれど……
交わりこそなかったものの、
私もあの人を愛してしまった。
だから、今ではあの子の気持ちが
身を以て知ることが出来た。
そして二人は本当に、
約束通り……
運命も歴史も変え……
出逢い。
再び恋に落ち。
愛し合った。
どんな困難も
乗り越えて……。
私はゆっくり涙を流す。
ーーお願いします。どうか昼間も地上に降りれるようにして下さい。
ーー降りてどうするつもりだ。
ーーあの子の記憶を消して来ます。その間、少しでもあの子と、あの子の家族と時間を過ごさせて下さい。
(ごめんなさい……)
あなたが彼の分まで背負った罪が……
神と交わした契約が……
まさか一番重いものになるなんて……
許して下さい。
あなたの記憶を消すことが、
私が本当に
最後にあげられる
贈り物だなんて……。
せめて幸せな思い出の中で、
愛する人と触れ合いながら、
消してあげたかった。
「ごめ、ん……なさいっ……」
今頃
目覚めている娘を
思うと……
私は涙が止まらなかった。